其は真にして真にして真なり

白より赤いずるときはには、上なるものは下に似て、下なるものは上の如く。

恐れることはない。
黒はやがて白より打ち払われ、
白はもとより黒の内にある。

火から土を、
粗雑なものから精妙なものを、
ゆっくり、巧みに分離せよ。

それは地から天へと昇り、
ふたたび大地へ下降せしめ、
上なるものと下なるものから力を得る。
そうして汝は世界の輝きを収め、
全ての闇は消え去らん。

ここに、あらゆる力の最奥がある。
ここに、あらゆる期限の渦がある。

それは、全ての精妙に打ち勝ち、
全ての個体に浸透するからである。

かくして世界は完成された。
そは真にして真にして真なり
故に三真の句と呼ぶ。


窓際には茶色のデザインに凝った椅子が二つ。
そしてそれに座るものが二人。

「こりゃぁね、三真句っていうのさ。知ってるかい嬢ちゃん?」
真っ白の髪に色つきの眼鏡をかけたインテリな風貌の女性の名はヴァルロッサ。
外見の年はまだ30への入口へと入るだろうか。
しかし、彼女の口から出てくる言葉にはそれ以上の重さが伝わってくる。

「サンシンク?ごめんなさい、はじめて聞く言葉よ。
 あと嬢ちゃんっていうのやめて。」
それに対して答えるのは、まだ年端もいかぬ少女。

「サンシンクとは3っつの真なるモノについて歌ったものさ。
 だから三真の句、なのさ。
 この歌ができたのは昔々のそのまた昔のことなのさ。
 嬢ちゃん、この世界の生い立ちについては知ってるかい?」

「確かこの世界は混沌の中に突然できたって話でしょ?
 あと嬢ちゃんってやめて。」

その答えを聞いてヴァルロッサはうれしそうに笑い、
「1割正解。
 正確には突然できたわけじゃないのさ。
 昔この世界、いやこの空間はただの【ねじれ】だったのさ。」

「ねじれ?あと…もういいわ。」
少女は少し難解な顔をしたあと、ぷぅーと膨れてみせる。

ヴァルロッサは少女のその顔を見て思う。
もうこんな顔をするのかいこの娘は、と。
気が強いのか、それともこれが素なのかはてさてさね。

「あっはっはっ、賢明さね。
 そこら辺はあの子には似なかったみたいだ。
 じゃぁ話を戻そうね。
 確かにそこには世界というものが在っただろうね。
 けれど世界は定まっていなかったのさ。
 時間、天地、天候、昼夜。
 なにも定まらないそんなのは世界とはとても言えないだろうさね?」

「悪いんだけど…私はまだ何の物差しも持ってないから、
 何をどうもって【世界】と言えるのかわからないんだけど?」

質問に質問で返された私は確かにそうだと笑う。
「そうさね。
 確かにこれを理解するには、マナの構造から理解する必要があるけれど・・・
 物差しなら嬢ちゃんはすでに持ってると思ったんだけどねぇ。
 いいかい?
 こう考えるときっとわかるはずさね。
 突飛な言い方だがね、
 私たち霊長が存在する上でその異常な環境が世界と言えるかい?
 目に見えないけれど在る、ある種の規範、規則、そして常軌。
 すべての生物、まぁ思考をする生物すべてが世界とそれを認められるかい?」


「そういう考え方でいくとそれは世界としては見れないっていうことになるわけね。」

「そう、世界ではないのさ。
 それがわかったなら次の段階さね。 
 その【ねじれ】に唐突にそこに思考のできる生物が投げ込まれたらどうなると思うさね?」

アルは思考する。
上も下もわからない、自分という存在すらわからない場所。
もしそんな所に…と考えて思い出す。
ついこの前まで自分がいた場所を。
あそこはヴァルロッサの言うねじれと似ている。
私は震えだしそうな肩を押さえつけ、
「発狂…。」
とだけ声を絞り出した。

そう、とヴァルロッサは優しくアルの頭をなで、
「アルト嬢ちゃんがいたあそこと同じ。
 意識あるものは自分の存在も理解できず、
 理性があったとしてもそれはすぐに摩耗するだろうね。」

いくら理性が厚いとしても摩耗していく神経。
そして代わりにわいてくるものは、
「衝動・・。」

「そう、あなたの場合それはイルを解き放つことが衝動だったといえるだろうね。
 だけどその【ねじれ】にいた奴らがどんな衝動に走るかわかるかい?
 そうさ、何もないその世界であるのは敵だけさ。
 理性は失せ、代わりに現れたのは殺戮衝動に駆られた自己の確立。
 そりゃそうさ、何もない。
 あるのはそこにいる奴らだけなんだからね。
 そしてそこにいた奴らは殺しあい続けた。
 殺して殺して殺して、そして知恵をつけ、その知恵は手を組むことを教え、
 裏切りを知る。
 裏切りにより生まれたのは憎しみ。
 憎しみによる連鎖の中でそして彼らは悲しみを知る。
 悲しみは彼らに忘却の彼方の理性を呼び戻す。
 そしてその頃には世界が出来てたのさ。
 殺しあった何万、何憶、いや何兆の屍が重なりあい大地を作り、
 ながれ出た大量の血は世界に海を生んだのさ。
 これがこの世界の本当の生い立ちさ。」

まるでそれを見てきたかのように時折顔を曇らせながら一気に話し終えた彼女は
椅子から立ち上がると窓を開ける。


「これがこの世界の、生い立ち…。」


「そう、これは成り立ちではなく生い立ち。
 そして三真句はこの世界の原生期、壺独の時代に出来たものさ。
 なんでこんな話をしたかというと嬢ちゃんはまず知る必要があったからさ。
 己を知るには世界の起原を知ることさね。
 そしてこの世界ではこれを知ることで【世界】が存在することを知るのさ。」

途端、開け放った窓から大量の花びらが舞いこんでくる。
アルト驚き椅子から立ち上がる。

「ようこそ、アルト・カグルフィア。
 祝福の儀は終わり嬢ちゃんはたった今からこの世界のひとかけらさ。」

雄々しくもうれしそうに白髪の女は少女を世界へと導いた。


 

 






ぬほほほほ〜〜〜
久し振りの更新だね〜〜^^

ちびっと質問があるのだが宜しいですか?

実はだらけさんみたいに過去記事をTOPに持って来たい場合は
どのようにすれば良いのか教えて貰えませんか?

宜しくお願いします<(_ _)>


ぼちぼちぼっち〜〜ノ凸!!!
【2008/06/28 07:43】 URL | かぜのお〜 #-[ 編集]
えとですね
ブログ記事を普通に投稿するときにですね
投稿日を設定できるじゃないですか?
それを未来の日に設定するわけですよ
そうすることによってずっとブログの頭に出てるって寸法でス
だらけはスンゲェイ未来にしてまス笑

押しサンクス〜
【2008/06/28 08:42】 URL | だらけネコ #-[ 編集]














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